2021年開幕4戦が終わって
2021年のJFLも早いもので5節まで進みました。チーム数が奇数であり、コロナの影響もある事から各チームの消化試合数はまちまちですが、現在の順位はこう。
奈良クラブは1勝3敗の勝点3で暫定13位。
直近のヴェルスパ大分戦が今シーズンワーストの出来、しかも3連敗で中断期間に入ってしまったので気持ちは下がり気味ですが、勝点だけを見るならばこんなもんかなとも思ってます。それは何故か?
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社長の見通し
実は今シーズンの見通しについて、濵田社長は既に言及しています。
noteでは戦術の浸透までに時間がかかる事
先日掲載されたインタビュー記事ではさらに具体的に話されています。
一部引用しますと、
現時点で完成度は「20~30%」だといい、今は選手に臨機応変さを求めている。フリアン体制でJ3への昇格を目指す。
「現実問題としては(今季JFLの)上位に食い込めると思っている。大体2年あれば描いているものが実現できる。僕らも(選手を)集めきれているわけではないので、(今季は)出来としてマックスでも7割ぐらいかなと。それでも上位はいけると思っていて、できれば昇格したい。ただ、2年かけて昇格は絶対。今年は昇格するための準備をしている」
濵田社長はフリアン監督やダリオ監督代行とは長年の付き合いですから、彼らの仕事の進捗見積もりはある程度正確に出せるでしょう。
また、社長とは何度か直にお話しした事がありますが、正直で話を飾りすぎない方とお見受けしています。
プロサッカークラブは娯楽産業でもあるので、前監督のようにもっと派手な大風呂敷を広げて夢を見させても欲しいと思いますが、それはさておき奈良クラブの今後です。
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今シーズンの成績予測
社長の言から今シーズン想定成績の数値化を試みました。
社長の言う完成度100%を、優勝できる能力、4試合で3勝1分勝点10取れる力と定義します。
現在首位争いをしているHonda FCとF.C.大阪を見ればわかります。首位を走るチームは負けないんです。
最初の4試合の完成度を30%と考えれば勝点3。
今の成績は想定通りです。こんなもんです。
今シーズンの最終完成度を70%、前半16試合終了時には50%に達しているとして、単純な一次関数から今シーズンの想定成績を予測しました。
前半 4勝4分8敗 勝点16
後半 6勝6分4敗 勝点24
通算 10勝10分12敗 勝点40
いやあ生々しい数字だ。
順位だと10位から12位ぐらいかな。
新しいこと始めたばかりだし、ここ2年の成績考えたら前進してるよね。
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いやいや
社長はこのように述べています。
それでも上位はいけると思っていて、できれば昇格したい。
この言葉を数値化するなら勝点50は必要ですし、それくらいは取れるだろうと考えておられるのでしょう。
つまり、上で出した勝点は今シーズンの基準点ではないでしょうか?
これより悪ければ監督解任です。
なにより降格してしまうかもしれない。
勝点を10上積みする。
これがフリアン奈良の真のミッションと考えます。
負け試合を4つ減らして勝ちを3つ引き分け1つにするのはしんどいでしょうか?
引き分けを4つ勝ちにして、負けを2つ引き分けに持ち込むのはどうでしょう?
いずれにせよ、かなり頑張らないといけないのは間違いないです。
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そもそも
スタートダッシュに失敗して上位になんかいけるわけがない。
そんな声が聞こえてきそうです。
調べてみました。
2016年J3昇格のアスルクラロ沼津の開幕4戦の成績は4勝0敗の勝点12
2018年昇格のヴァンラーレ八戸の開幕4戦の成績は3勝1敗の勝点9
なるほど、その通りだ…
2019年昇格のFC今治は1勝3分の勝点6
そして昨年2020年に昇格したテゲバジャーロ宮崎の開幕4戦の成績は1勝2分1敗の勝点5
あれ?それ程でもなくなってる?
JFLは年々実力差が縮まっています。
2021年昇格した奈良クラブは勝点3でした
と並べても傾向としてはおかしくないです。
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ソニー仙台FCの前例
実際、スタートダッシュに失敗して前半低迷しながら最終上位の成績を残した前例もあるのですよ。
次節対戦するソニー仙台FCの2018年シーズンです。
この年のソニー仙台FCは開幕4戦で0勝1分3敗の勝点1。
開幕戦で引き分けた後3連敗のスタートです。
さらに、その後も勝てず6戦終わって0勝3分3敗の勝点3。
しかし7戦目で初勝利を挙げるとそこから6連勝。息を吹き返します。
最終成績は、
16勝4分10敗 勝点52で4位
こういう事も起こりうるんです。
だってソニー仙台FCだから地力があるし、とも言われそうですが、今年の奈良クラブの選手ってそんな低いレベルですか?
カリスマコーチの特訓で落ちこぼれサッカー選手がJリーガーを目指す、なんて時代遅れの企画をやってるわけではないんです。
Jで十分やれる選手を集めています。だからお金が足りなくて数が少ない。
ソニー仙台FCと同じような事ができるポテンシャルは十分あります。
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過程を楽しむ
ただ、2年かけて昇格は絶対。今年は昇格するための準備をしている。
社長がこうも言ってるのを見ないふりしているわけではありません。
現実には昨シーズン、ライバルチームがあと一歩と涙した順位ぐらいを最高到達点と設定されているのでしょう。
それでもやっぱり早く昇格してほしい。
昇格すれば何もかも解決できるわけじゃないし、人気が急激に上がることもないのは理解しています。
でも、やっぱり何より彩りが違います。
奈良に決定的に足りてない鮮やかな彩りが欲しいです。
それに、Jリーグの外国人選手やコーチ陣は来日できるのに、フリアン監督がいまだできない政治力の差は、目を背けてはいけない悔しい現実。
もちろん、昇格と勝ちだけにこだわるとしんどい毎日が待ち受けて不幸になるのは目に見えています。
だいぶ前に、ある動画を見ました。
www.youtube.com奈良クラブ監督を退任した直後の林舞輝さんがアンドレ・ビラス・ボアス氏から送られた言葉が印象的です。
結果というのは幸せ傾向になってしまうということ。
仕事そのものを喜び、挑戦していることそのものの喜び
それこそを探すべきです。
奈良クラブの歴史は小説や映画の題材にできるくらい魅力的です。
それは順風満帆なサクセスストーリーだからじゃない。
特にここ数年なんて踏んだり蹴ったりなのは言うまでもない。
何度同じことを繰り返すのか。はい、今年も繰り返します。
仕方ないです。
何年も連続して一からやり直しを続けているんですから。
昨年なんてマイナスからの片付けに追われていたんですから。
でも、螺旋階段登っていくみたいに同じ風景に見えてちょっとだけ違ってる。
ドタバタしながらも、そのちょっとだけ違っていく様を眺めて気長に楽しんでいくのが正解なんでしょう。
物語は山あり谷ありのハラハラドキドキがあるから面白い。
それに仕事の経験ですけど、どんな優秀な人材が集まろうがシステムを導入しようが、新しい事業の立ち上げがすんなり進んだ事などない。
後から振り返ればつまらないところでつまづいてばかりなんです。
毎日が暗中模索だから仕方ない。
イライラして八つ当たりし合うのもありがち。
なんとかしたくて暴走して大ゴケするのもやりがち。
開幕直後にそれが出てまだ良かった。
腹を割って話し合って目合わせするしかない。
一回やれば腹を割るハードルが下がる。
何回でも繰り返すんです。
気がつけば当たり前に稼働してる日々になるんです。
絶望の日々も振り返るとセピア色の思い出に昇華してしまうんですよ。
そんなわかったような事を言いながら、これからも1試合1試合、勝てば大喜びするし、負ければ悔しいし心配症になるのは間違いないです。
一喜一憂も存分にやって、それらも楽しめるようでありたい。
先のオンライン座談会で社長に指摘されたように、
言葉を選んで文句言いながら。